LOGO LAB JOURNAL

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ロゴデザイナーが気になったAdobe Fonts 5選。2026年追加書体から見る、ロゴタイプのヒント

Adobe Fontsに2026年追加された書体から、ロゴやブランドづくりで使ってみたくなる5書体を選びました。個性や使いやすさ、どんなブランドと相性がよさそうかを、ロゴデザイナー目線で見ていきます。

新しいフォントを見ると、「これ、ロゴに使ったら面白そう」と思うことがあります。今回選んだ5書体も方向性はばらばらですが、それぞれにはっきりした個性があります。

親しみのある日本語書体、あえて読みやすさを外した個性的な書体、極細のゴシック、力強い筆文字、クリップをモチーフにした欧文書体。そのまま使って成立しそうなものもあれば、使うブランドを選びそうなものもあります。

この記事では、それぞれの何が面白いのか、どんなブランドと合いそうか、使うなら何に気をつけたいかを、ロゴデザイナーの目線で見ていきます。Adobeの公式情報に加えて、使い方についてはLOGO LAB JOURNAL編集部の考えをまとめています。実案件では、必要な文字がそろうか、どの媒体で使うか、競合が同じ書体を使っていないかまで確認してください。

01 / FONT

Mokupan(もくぱん)

Adobe FontsのMokupanで組んだ書体見本。もくぱん、山と木工、特徴的な字形と3段階の小サイズを白背景・黒文字で比較。

WHAT
木版画を思わせる彫り跡と、彫刻刀で切り込んだような欠けを持つディスプレイ書体です。少し不器用で幼い形も残し、均一な手書き風とは違う手仕事の温度があります。ひらがな、カタカナ、英数字に加え、学年別漢字配当表の1,026字を中心に収録しています。
LOGO VIEW
文字の欠け方そのものに個性があるので、短い名前なら大きく加工しなくても印象に残りそうです。文字ごとの形の違いが、名前全体にほどよいリズムも作ります。きれいに整えすぎると木版らしさが消えるため、形の揺れは残しつつ、読みにくい字間だけを直すくらいがよさそうです。
GOOD FOR
クラフト、地域産品、食、文化施設など、素材や作り手の存在をブランドの価値にできる方向と相性がよさそうです。懐かしさだけでなく、現在の手仕事として語れる案件に向きます。
CAUTION
小さな表示では彫り跡がつぶれ、ただ輪郭が荒い文字に見える可能性があります。収録漢字も限定されるため、ブランド名だけでなく、将来の派生名や商品名まで必要文字を先に確認します。
LICENSE
Adobe Fontsから追加したフォントは、ロゴを含む画像・ベクター作品や商用制作に利用できます。アウトライン化後の文字は加工できますが、フォントソフト自体の変更や第三者への共有はできません。

02 / FONT

Tsuchinoko(つちのこ)

Adobe FontsのTsuchinoko Regularで組んだ書体見本。つちのこ、欧文、特徴的な字形と3段階の小サイズを白背景・黒文字で比較。

WHAT
線同士が近く、一瞬どう読むか迷うこと自体を特徴にした書体です。ひらがな、カタカナ、英数字、記号を収録し、Adobe FontsではL、R、Bの3スタイルが提供されています。漢字は収録されていません。
LOGO VIEW
ひと目では少し読みにくいのに、名前が分かると読める。その引っかかりをブランドの個性にできる書体です。短い名前を大きく見せるロゴなら、文字の形を記号のように覚えてもらえるかもしれません。L、R、Bで読みやすさと印象がかなり変わるので、使うサイズに合わせて比べたいところです。
GOOD FOR
音楽、ゲーム、カルチャー、実験的なプロダクトなど、少しの違和感を入口にできる短い名称に合いそうです。読解より先に形を見せても成立する接点が多いブランド向けです。
CAUTION
初見で名前を正しく伝える必要があるサービス、公共性の高いサイン、検索や口頭伝達が重要な新規ブランドでは慎重に扱います。漢字を含む名称では、別書体との混植がTsuchinokoの仕掛けを弱めないかも検証が必要です。
LICENSE
Adobe Fontsから追加した場合、ロゴ・商用制作・アウトライン化後の加工が認められます。編集可能なデータを渡す相手がフォントへ直接アクセスする場合、その相手にも別途ライセンスが必要です。

03 / FONT

VDL-LogonaGokuHoso(VDL ロゴナ極細 TH)

Adobe FontsのVDL ロゴナ極細 THで組んだ書体見本。和文と欧文、極細線の字形、3段階の小サイズを白背景・黒文字で比較。

WHAT
ロゴナ・ファミリーで最も細いウェイトです。線がとても細く、文字の内側にもゆったり余白があるため、大きく使うと軽やかで新鮮な表情が出ます。Adobe Fontsのファミリー名は「VDL-LogonaGokuHoso」、Adobe公式ブログの追加書体名は「VDL ロゴナ極細 TH」です。
LOGO VIEW
大きな文字で見せたときの、軽さと余白が魅力です。美容や建築のように静かで洗練された印象を出したいロゴが想像できます。ただし、ロゴは小さな画面や白抜きでも使います。和文と欧文を並べたときに片方だけ細く見えないか、背景を反転しても線が消えないかまで試して選びたい書体です。
GOOD FOR
美容、建築、ファッション、ギャラリー、上質なサービスなど、強く叫ばず、余白とスケールで存在感を作るブランドに合いそうです。大きなサインや見出しを主要接点にできると持ち味が出ます。
CAUTION
極細線は、低解像度の画面、吸い込みやすい紙、刺繍、縮小印刷、明るい背景への白抜きで印象が変わります。マスターだけを見て決めず、最小サイズと最も厳しい生産条件を先に試します。
LICENSE
Adobe Fonts上でロゴと商用制作への利用が確認できます。アウトライン化した文字の調整は可能です。フォントファイルを印刷会社や協力先へ同梱することはできず、必要な相手は自身のライセンスを用意します。

04 / FONT

TAw Takedajyoato(TAw-竹田城跡)

Adobe FontsのTAw-竹田城跡で組んだ書体見本。竹田城跡、山城文化、筆文字の特徴と3段階の小サイズを白背景・黒文字で比較。

WHAT
兵庫県朝来市の観光地、竹田城跡を題材にした地域活性化の取り組みから生まれた書体です。筆の力強さがありながら、くだけすぎず、縦組みでも横組みでも読みやすく作られています。使用頻度をもとに選ばれた漢字1,000字と、かな・英数字・記号など206字を収録しています。
LOGO VIEW
勢いのある筆文字ですが、並べたときに形が安定しているので、名前を堂々と見せたいロゴに使いやすそうです。ただし、竹田城跡から生まれた書体であることも無視できません。その背景がブランドの物語と自然につながるなら、形だけではない採用理由を持たせられます。
GOOD FOR
地域文化、観光、歴史資産、和の食品など、土地との関係を正面から語れるブランドと相性がありそうです。堂々とした筆文字が必要でも、勢いだけに寄せたくない場面に向きます。
CAUTION
地域由来の物語を無関係な案件へ借りると、形だけの和風演出になりかねません。漢字収録は約1,000字なので、地名、人名、商品名に必要な文字を必ず照合します。欧文を添える場合は、日本語だけが力強く見えすぎないよう、太さや大きさを調整する必要があります。
LICENSE
Adobe Fontsから追加したフォントはロゴや商用制作に使え、アウトライン化後の加工も可能です。フォントファイルそのものはクライアントや制作会社へ渡せません。

05 / FONT

Paper Clip Nova

Adobe FontsのPaper Clip Nova Basicで組んだ欧文書体見本。PAPER CLIP、特徴的な字形と3段階の小サイズを白背景・黒文字で比較。

WHAT
1982年以降に米国VGCから販売された「Paper Clip」を、オリジナルデザイナーが再設計した欧文ディスプレイ書体です。Adobe公式ブログではゼムクリップをモチーフにした書体として紹介され、Basic、Outline、Solidの3スタイルが提供されています。
LOGO VIEW
文字の中にクリップの形が見えるため、加工しなくても十分に目を引きます。短い英字名なら、クリップが繰り返される見た目もロゴの特徴になりそうです。Basic、Outline、Solidは好みだけで決めず、小さくしたときも文字の内側がつぶれず読めるものを選びます。
GOOD FOR
文具、教育、工作、編集、ファイル共有など、留める・まとめる・つなぐという道具の意味をブランド体験へ結び付けられる方向に合いそうです。短い英字名ほどモチーフが読み取りやすくなります。
CAUTION
モチーフが明快なぶん、ブランドの意味より「クリップの書体」が先に記憶される可能性があります。既製書体の個性をブランド固有のアイデアと混同せず、競合での使用や商標調査も別途行います。日本語名と組む場合は、欧文側だけが強い見世物にならないバランスが必要です。
LICENSE
Adobe Fonts上で、ロゴを含む画像・ベクター作品と商用利用が認められています。アウトライン化後は加工できますが、変換した輪郭からフォントソフトを作ることはできません。

LICENSE NOTE

Adobe Fontsをロゴに使うときの注意

Adobe Fontsから自分のAdobeアカウントへ追加したフォントは、個人・商用のデザイン制作に使えます。ロゴへの使用、アウトライン化またはラスタライズ後の文字の加工も可能です。完成したPDF、EPS、JPEG、PNGなどはクライアントへ渡せます。

ただし、完成したロゴを納品できることと、フォントファイルを渡せることは別です。Adobe Fontsのフォントファイルは、クライアント、印刷会社、協力デザイナーへコピーしたり、制作データへ同梱したりできません。相手が生きた文字を編集するなら、その相手自身がCreative Cloudまたは別のデスクトップフォントライセンスを用意する必要があります。

WebフォントはAdobe Fontsが発行する埋め込みコードで配信し、自己ホストはできません。クライアントサイトは、継続運用のためクライアント自身のCreative Cloud契約から読み込む必要があります。契約が終了するとWeb配信も止まるため、ロゴの静止画納品とは分けて設計します。

TAKEAWAY

フォントの良さを、加工で消さない

既製フォントでも、ロゴづくりの十分に強い出発点になります。ただし、どの書体も同じ見方で選べるわけではありません。Mokupanなら文字の欠け方、Tsuchinokoなら少し読みにくい形、VDL-LogonaGokuHosoなら細さと余白、TAw Takedajyoatoなら力強さと生まれた背景、Paper Clip Novaならクリップの見え方。それぞれ、魅力のある場所が違います。

アウトライン化したら、何か手を加えたくなるかもしれません。でも、加工するほどよいとは限りません。まずは、そのフォントの何がよくて選んだのかを決め、その良さを消さないこと。必要なサイズや媒体で使えて、ブランドの性格にも合うなら、その書体を大きく変えずに使うことも立派な判断です。

SOURCE / 出典