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BOOKS
ロゴデザイナーが今チェックしたい本5冊。実務で見るポイントまで整理
ロゴ制作、アイデアの発想、文字間調整、ブランディングまで。出版社の公式情報をもとに、ロゴデザイナーが実務のどこを見ると役立つかという視点で5冊を整理しました。
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ロゴデザインの本はたくさんあります。完成したロゴを眺める本もあれば、作り方を解説する本、ブランディング全体を扱う本もあります。
仕事としてロゴを作っていると、単に「きれいなロゴをたくさん見る」だけでは足りません。知りたいのは、なぜその形になったのか。どんな案を捨てたのか。文字の細部をどう整えたのか。そして、ロゴをブランド全体へどうつなげているのか。
今回は、出版社の公式紹介や目次、公開情報を確認しながら、「ロゴデザイナーが実務のどこを見ると役立ちそうか」という基準で5冊を選びました。「この1冊が正解」というランキングではありません。それぞれ、見るべきポイントが違います。
01
ロゴデザインのコツ
CRAFT / DETAIL
02
「ボツ案」から学ぶ ロゴデザイン
IDEA / PROCESS
03
ロゴデザインの現場
WORKFLOW / BRANDING
04
レタースペーシング
TYPE / DETAIL
05
最強のブランディングデザイン
BRAND / SYSTEM
01 / CRAFT / DETAIL
『ロゴデザインのコツ』|仕上げの精度を上げたいとき
佐藤浩二さんによる『ロゴデザインのコツ』は、ロゴ制作のプロセスから発想、ロゴタイプ、錯視調整、バランス、精緻化、色、プレゼン、展開まで65項目に分けて解説した本です。出版社の紹介によると、著者が実際に手がけた約150点のロゴをもとに構成されています。
この本で特に見たいのは、アイデアそのものよりも「最後の精度をどこで上げているか」です。線の太さ、円と直線の見え方、先端の処理、要素同士の大きさ、ロゴタイプの文字間、シンボルとロゴタイプのバランス。数値を揃えても、人の目には違って見えることがあります。
形を作る方法より、作った後にどこを見るか。すでにロゴ制作を仕事にしている人ほど、そこを確認したい一冊です。
02 / IDEA / PROCESS
『「ボツ案」から学ぶ ロゴデザイン』|採用案より、途中を見たいとき
完成したロゴを見ると、最初からその形が正解だったように見えます。でも実際のロゴ制作では、そんなことはほとんどありません。内田喜基さんの『「ボツ案」から学ぶ ロゴデザイン』では、50のプロジェクトについて、最終的な採用案だけでなく、そこへ至るまでのボツ案や発想の過程が紹介されています。
ロゴ実務で本当に参考になるのは、「なぜこの案になったか」だけでなく、「なぜ他の案ではなかったか」です。複数案を提案するとき、3案の違いをどう作るか。方向性をどこまで離すか。面白いけれど採用しない案は何が違うのか。クライアントへ説明できる案になっているか。完成作品だけでは見えにくい判断があります。
ロゴをたくさん見るためというより、デザイナーが案を選ぶ過程を見る本としてチェックしたい一冊です。
03 / WORKFLOW / BRANDING
『ロゴデザインの現場』|制作の前後まで見たいとき
ロゴ制作は、Illustratorを開いてから始まるわけではありません。その前にヒアリングがあり、ブランドの整理があり、提案があり、採用後には展開があります。『ロゴデザインの現場』では、佐藤浩二さん、小野圭介さん、田中雄一郎さんによる実際の案件を通して、ロゴ制作とブランディングのプロセスが紹介されています。企業、商品、教育機関、医療機関、地域プロジェクトなど、案件の種類もさまざまです。
注目したいのは、完成したマークよりその前後です。クライアントの要望をどう受け取り、何を課題として設定するか。方向性をどう決め、プレゼンで何を伝え、決定後にVIへどう広げるか。2016年刊行の本なので「最新」としてではなく、ヒアリング、提案、評価基準、VIという現在にも通じる実務テーマを読むのがよさそうです。
造形力だけでなく、前後の判断まで含めて「ロゴの仕事を設計する」視点を持ちたいときに見る本です。
04 / TYPE / DETAIL
『レタースペーシング』|文字間を「なんとなく」で決めないために
ロゴタイプを作るとき、最後まで悩みやすいのが文字間です。狭くすればまとまるわけでも、均等にすれば整うわけでもありません。『レタースペーシング』は、その文字間調整だけを一冊で扱っています。欧文だけでなく、和文、和欧混植、ウェイトやサイズの違い、周囲のスペースによる見え方まで扱われています。
ロゴデザインで特に役立ちそうなのは、文字を一文字ずつではなく、文字列全体の黒と白のバランスとして見る視点です。「数値上は同じ間隔なのに、ここだけ広く見える」というとき、必要なのは数値ではなく目で補正する力です。
既製フォントをそのまま使う場合でも、文字間を整えるだけで印象は変わります。文字を大きく加工する前に、まずスペーシングを見る。ロゴタイプを扱う人なら、一度きちんと整理しておきたいテーマです。
05 / BRAND / SYSTEM
『最強のブランディングデザイン』|ロゴの外側まで見るために
ロゴが完成した後、そのブランドがどう見えていくか。2026年刊行の『最強のブランディングデザイン』では、原研哉さん、永井一史さん、佐藤可士和さん、水野学さん、西澤明洋さんなど、複数のアートディレクターによるブランド事例が紹介されています。ロゴだけでなく、パッケージ、広告、グラフィックを含めた思考と表現を見るための本です。
ロゴデザイナーとして注目したいのは、「良いロゴを作った後、何を揃えればブランドになるのか」という部分です。色、写真、書体、レイアウト、パッケージ、空間。ロゴ単体では異なるプロジェクトでも、ブランド全体を見ると共通するルールが見えてくることがあります。
ロゴを作って納品して終わるのではなく、その先まで提案できるようになりたい人には、こうした事例を見る意味があります。
CONCLUSION
5冊は、役割が違う
造形の精度を見るなら『ロゴデザインのコツ』。案ができる途中を見るなら『「ボツ案」から学ぶ ロゴデザイン』。案件全体の進め方を見るなら『ロゴデザインの現場』。文字の細部を見るなら『レタースペーシング』。ロゴの先のブランドを見るなら『最強のブランディングデザイン』。5冊は、それぞれ見るところが違います。
ロゴデザインのインプットというと、完成作品をたくさん見ることに意識が向きがちです。もちろん、それも必要です。ただ、実務で次の仕事に使いやすいのは、完成形ではなく「どこを見て、どう判断したか」が分かる情報だと思います。
本を見るときも、「良いデザインだな」で終わらせず、自分ならこの案件のどこで迷うか、その答えがどこに書かれているか。そんな見方をすると、仕事への戻し方が少し変わってきます。
